肩が痛くて腕が上がらない……40代では「四十肩」、50代は「五十肩」と呼ばれる肩こりとは明らかに違う痛み。その年齢に多いことから俗称として呼ばれていますが、それぞれに違いはありません。「肩関節周囲炎」とも呼ばれ、肩を構成する軟部組織の炎症などによって痛みが出たり可動域制限が出たりします。夜中に眠れないくらい痛くなったり、腕が上がらず衣服の着脱に時間がかかったり、日常生活に支障が出てとても不便な疾患です。
五十肩の症状
肩から腕にかけての痛みが主な症状です。原因はよく分かっていませんが、加齢により周辺組織が肥厚し柔軟性がなくなり固まってしまうと考えられています。
運動時痛(腕を上げた時の痛み)で気づくことが多いです。そのうち安静時痛(特に夜間就寝中の痛み)、運動制限(結髪結帯動作:髪を結ぶ・後頭部を触る動作、帯を結ぶ・腰に手を当てる動作が困難)をきたします。
①急性期(凍結期):安静にしていても痛みが強く、肩の動きが痛みの為に低下してくる。(3〜6ヶ月位)
②慢性期(拘縮期):痛みは治ってくるが、関節が拘縮し可動域制限が出てくる。(1年程度)
③回復期(解凍期):拘縮が徐々に取れて可動域が元に戻る、日常生活動作に支障がなくなる。
五十肩に似た疾患
肩が痛い、腕が上がらない解いた症状は五十肩だけではありません。それぞれ判別方法や治療法も異なるので、必ず医師の診断を受けて正しく治療していきましょう。
①腱板断裂:転んで肩を打った、重い物を持って直後に激痛が走ったなどのきっかけがあることが多い。仕事で腕や肩を使うことが多いと生じやすい。五十肩がなかなか治らない人は実は腱板断裂だったという例が多いので病院に行って医師の診断を受けましょう。
②肩峰下滑液包炎・石灰沈着性腱板炎:こちらも同じように、肩を打ったり、重い物を持ったり、使い過ぎによる炎症がきっかけになります。五十肩に似た症状です。激痛で肩が上がらなくなります。
③頚椎症性神経根症:加齢で頚椎の椎間板や靭帯などが変性し、神経を圧迫し肩や腕の痛み、手の痺れなどの症状が出ます。
④胸郭出口症候群:首から手に行く神経が絞扼(締めつけや圧迫)されて、肩から手に痛みや痺れ、運動・感覚障害が起こります。絞扼される場所によって斜角筋症候群、肋鎖症候群、小胸筋症候群と呼ばれます。
上記以外にも肩や腕に痛みが出る疾患はたくさんあります。自己判断や専門的ではない人の判断は、症状を長引かせたり悪化させる事にもなります。少しでも早く治すためには医師の正しい診断が必要です。
五十肩の治療
基本的には保存療法を行います。急性期の疼痛が強い時期には三角巾を使った上肢の安静、消炎鎮痛薬の内服、ヒアルロン酸や局所麻酔薬とステロイドの混合液の関節内などへ注入が行われます。保存療法を3〜6ヶ月行なっても効果が認められない時は手術適応になることもあります。
自宅で出来るリハビリ
病期によって治療法は異なります。痛みが強い時は安静を保って痛みが出るような動きは避けるようにしましょう。何もせず放っておけば良くなるなんてことはありません。かえって関節が固まってしまい完治までの期間が伸びてしまいます。
安静時の痛みがなくなり、慢性期になれば毎日継続して肩を動かすようにしましょう。痛いのに無理をして動かす必要はありません。毎日続けることが大切です。
コッドマン体操(アイロン体操)
①机や椅子などに痛くない方の手を置き、腰を曲げて体を前に倒す。痛い方の手は床と垂直になるように垂らす。
②力を抜いて腕をゆっくり左右前後に振る。時計回り、反時計回りにまわす。
※痛みのない程度に動かしましょう。水の入ったペットボトルなど、軽いおもりを持つとより効果的です。
タオル体操
①痛い方の肩を下にして、背中側で上下にタオルを持つ。
②痛くない方でタオルを上にゆっくり引き上げる。
③抵抗があるところで止め、10秒キープする。
④これを2〜3回繰り返し、1日数セット行う。
※毎日継続して行える回数にしましょう。
壁ドン
①肩が痛い方の手を壁につき、ゆっくりとお辞儀をする。体を捻らないようにする。
②抵抗があるところで止め、10秒キープする。
③これを2〜3回繰り返し、1日数セット行う。
※毎日継続して行える回数にしましょう。
急性期の就寝時良肢位
痛い方の肩が前に出るようにタオルやクッションなどをかます。肘を曲げて、三角巾で腕をつるような姿勢にする。
※タオルやクッションの高さは適宜調整してください。
五十肩のリハビリは、強い痛みを我慢するほどではなく、抵抗を感じながらもリラックスでき深呼吸が可能な負荷で十分です。「急性期(凍結期)に痛くても動かさないと固くなってしまう」「慢性期(拘縮期)に放っておけばそのうち治る」と患者さんに説明する専門家は間違いですのでお気をつけください。
五十肩と鍼灸・マッサージ
五十肩は鍼灸治療の保険適応になります(医師の同意書が必要)。
鍼灸治療、マッサージ治療共に疼痛緩和、血流改善、緊張緩和などが期待できますが、急性期の疼痛緩和にも鍼灸治療は効果が期待できます。自宅でのリハビリと併用して最短での完治を目指しましょう。
五十肩でお悩みの方は是非、当院にご相談ください。国家資格「はり師」「きゅう師」「あん摩マッサージ指圧師」免許を持ったスタッフが丁寧に施術いたします。
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