本の紹介

本の紹介『東洋医学はなぜ効くのか』〜前編〜

どうも皆さん、こんにちは。
なりひら治療院の鈴木です🍀

ちょっと新しいテーマでブログを書いてみようかと思います。
続くかどうかは僕のやる気次第です笑

他の人がどんな本を読んでるか、結構気になりません?
逆に「この本面白かった!」みたいに人に紹介したくなることってありませんか?
と言うわけで、不定期更新の「本の紹介」ブログです📚
ちなみに僕は半年に1回くらい5〜6冊まとめて買って、積ん読になってます笑

さて、今回ご紹介したいのはこちら、「東洋医学はなぜ効くのか」
中国うん千年の歴史〜、とか言って長いこと受け継がれてきた割にはなんで効くのかいまいちハッキリしてこなかった東洋医学。効く人もいれば、効かない人もいる。信じるか信じないかはアナタ次第、下手するとスピリチュアルで非科学的なオカルトのような捉え方をされることもあります。
ですが近年、現代科学の発展により、今まで不思議だった東洋医学が徐々につまびらかになろうとしているのです。

正直、この本、生理学の教科書のような内容も多く、馴染みのある人が読む分にはいいけど、そうでない人にとっては専門用語がズラっっっっと並ぶ、割と難解な本かもしれません。(と、感じてきました)
なので、7割くらい掻い摘んで書いていきます。

刺激を感じるメカニズム

人が触れた/触れられた感覚(触覚)、目に映る景色(視覚)、鼻をくすぐる香ばしい香り(嗅覚) 、耳に響く美しい音楽(聴覚)、口で蕩ける甘い味(味覚)、、、などなど、人が五感で感じるものは全て刺激となります。
その刺激を感じるセンサーを感覚受容器と言います。
ここでは、鍼やお灸によって皮膚で感じる刺激を中心にお話していきますが、皮膚から受ける刺激と言っても意外といろいろありますよね。
肌をさすって心地よいと思うこともあれば、握られたり押されたりして圧力(時には不快な)を感じることもある。
何かが刺さって痛いと思うこともあるし、料理中に鍋に触れて「熱っ!」と叫ぶこともあれば、氷を背中に入れられて「冷たっ!」と悲鳴をあげることもある。
このように皮膚という組織ひとつにしても、触圧覚・痛覚・温度覚とそれぞれ異なる刺激を異なるように感じるために、それぞれのセンサーがあるのです。

ちなみに、鍼やお灸の刺激を最も感じている受容器は
自由神経終末(痛覚と温度覚)
機械的侵害受容器(強い圧迫刺激:鍼刺激だけでなく、あん摩マッサージ指圧刺激もここに含まれるのではないでしょうか)
ポリモーダル受容器(化学物質による炎症反応も含め、ほぼ全ての刺激に反応する)
と言われています。

またお灸に関しては熱を感知するTRPチャネルという反応系があります。人には11種類のTRPチャネルがあり、それぞれ反応する温度帯や物質が異なるようです。カプサイシンにも反応するため、唐辛子を食べたときに熱い・痛いを感じるのはこのTRPチャネルが反応しているためと言われています。

鍼灸・あん摩マッサージ指圧による鎮痛のメカニズム

このように皮膚に生じた刺激はそれぞれの感覚受容器を通して、電気信号となり、末梢神経(体の表面に近い神経)から脊髄(体の中心である背骨の奥を通る神経)を通り、脳に到達します。
脳に到達した電気信号は、視床下部や視床、大脳皮質などの脳の各部位に入り、痛み感覚をはじめ、脳の働きを調節します。これが鍼灸が効果をもたらすメカニズムの鍵と言われています。
(鍼による刺し傷、灸による火傷、あん摩による打ち身も鎮痛をはじめ、いろいろな効果をもたらすこともわかってきています)
ここに出てきた「末梢神経」「脊髄」「脳」の3ヶ所で、鍼灸・あん摩マッサージ指圧による刺激が鎮痛効果を生み出していることがわかってきたのです。
次からは末梢・脊髄・脳のそれぞれの場所でどのような反応が起こっているのかを記していきたいと思います。

末梢で何が起こっているのか〜末梢での鎮痛メカニズム〜

末梢とは「端の方」という意味です。ここでは主に3つの作用があります。

1)軸索反射
鍼灸・徒手刺激による電気信号の一部が神経細胞の一部である軸索に入り、感覚神経の末端を刺激することで神経性の炎症を引き起こします。その結果、神経の末端から神経伝達物質が放出され、神経細胞周辺の血管の血流が増加します。血流が増加することで、滞っていた疼痛性物質(ヒスタミン・プロスタグランジンなど)が流れ、除去されることで鎮痛効果につながるというものです。鍼灸刺激で皮膚に赤み(フレア)が出ることがありますが、このフレアで効き具合をみる鍼灸師の先生方も多いようです。

2)自原抑制(Ⅰb抑制)
筋肉を骨に繋ぎ止めている部分をといいます。その大部分がコラーゲンという強力なタンパク質でできています。腱には腱紡錘(ゴルジ腱器官)というセンサーがあります。
下のイラストの緑のラインがくっ付いている部分です。

この腱を刺激(押す・伸ばす・刺す・熱するなど)すると、電気信号が脊髄へ伝わり、「おい!筋肉が伸びとるで!!緩めるぞ!!」という反射作用が起こります。その結果、筋肉の緊張緩和が起こり、血流が改善され、疼痛物質が流れ除去されると考えられています。
(長生術は筋肉の起始・停止部、つまり腱周辺を狙うことが多いので、『長生は身体が緩む』と言われるゆえんの1つと考えています)

3)内因性オピオイド
上記2つは人間の持つ反射作用を利用した血流の改善が疼痛物質を除去するというメカニズムでした。3つ目は「内因性オピオイド」という聞きなれない物質による鎮痛メカニズムです。
有名な鎮痛薬の1つである「モルヒネ」もオピオイドの1つです。
体内で作られる鎮痛物質の1つで、βエンドルフィンやエンケファリンなどが知られています。鍼灸(あん摩マッサージ指圧)刺激によって特定の神経細胞や免疫細胞が活性化し、オピオイドが分泌され、鎮痛効果をもたらされるのです。

免疫に関わる細胞の中心は白血球で、好中球・好酸球・好塩基球と3つに分類されます。このうち、好中球が内因性オピオイドによる鎮痛効果の中心的役割を果たすと報告されています。白血球には内因性オピオイドペプチドという分子が含まれており、組織の損傷部位に集まってきていた白血球に鍼灸刺激による更なるストレスを加えると、内包されていたオピオイドペプチドが放出され、鎮痛効果をもたらすというメカニズムなのです。

4)ATPによる鎮痛メカニズム
末梢での鎮痛メカニズム、最後のご紹介です。だいぶ頭の中が沸騰してきていると思います。ついてきて下さい(笑)

ミトコンドリア、という名前を聞いたことはないでしょうか?
生物や理科の時間に少し出てきたのを覚えている方もいるかもしれません。
人間の細胞の一部です。このミトコンドリアではATP(アデノシン3リン酸)という物質が作られます。筋肉の収縮など生命活動で利用されるエネルギーの貯蔵・利用にかかわり、「生体のエネルギー通貨」と呼ばれています。
このATPのようなアデノシンを含む化合物が、心筋・血管や内臓の平滑筋・脳・腎臓・血小板・白血球など、体のさまざまな場所にあるアデノシン受容体に作用して、多様な生理作用をもたらすのです。

足にある有名なツボ(経穴)で「足三里」というツボがあります。
2010年、アメリカ・ロチェスター大学での研究で、慢性痛のモデルマウスの足三里に鍼刺激を行った所、壊れた筋細胞から漏出したアデンシン濃度が24倍に上昇し、それに伴って慢性痛の場所に刺激を与えても痛がる反応の度合いが低下したという報告がある様です。
2012年には人を対象にした臨床研究も発表され、鍼による局所的な刺激はアデノシンとその受容体を介して鎮痛効果を生み出すことが示されたのです。

ふぅ。。。
ここまで鍼灸(あん摩マッサージ指圧)刺激による末梢で鎮痛メカニズムをご紹介してきましたが、本のページ数にするとたったの8ページです笑
この本、全部で300ページくらいあります笑

ということで、今回の記事だけで全部まとめるのは書く方も読む方も辛いので、また別の記事にまとめたいと思います。。。

最後に1つお伝えしておきたいのは、薬だって効くか効かないか飲んでみないとわからないし、手術だって治るか治らないかやってみないとわからない。その効き目や治り具合だって人によって違います。正直、医療というものは「やってみないとわからない」ものです。今まで、東洋医学はその部分が西洋医学に比べて大きすぎた。西洋医学以上にやってみないとわからないものでした。
しかしながら、徐々にではありますが「なぜ効くのか」がわかり始めています。つまり、「効く」んです。もちろん西洋医学と同様にその効き目や効果時間などは人によって差がありますが。
なので、必要以上に、あん摩・はり・きゅう・漢方薬といった東洋医学を敬遠せずに、西洋医学と併用しながら、身近で手軽なものとして気軽に利用してもらえることを願っています。

前・中・後編の3部作で近日公開予定ですので、次回の記事も乞うご期待下さいませ。
それではみなさん、ごきげんよう( ´ ▽ ` )ノ

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